憎しみを解放する具体的なノウハウ(実践と理論)
憎しみを抱き続けることに何のメリットもないことがわかった。しかし、現実問題、「許す」ために具体的にどうしたらいいの?というお悩みに今回、お応えしたいと思います。
具体的に下記6ステップを踏んでみてくださいね。
憎しみを解放する具体的な6ステップ
ステップ1 → とことん自分を正当化する。
ステップ2 → エネルギーを発散する。
ステップ3 → 距離を置く。
ステップ4 → 自分に5つの質問をする。
ステップ5 → 感謝して「幸せでいてください」と祈る。
ステップ6 → ステップ1~6を繰り返す。
ステップ1 とことん自分を正当化する。
俺が正しくて相手が悪いということを、とことん紙に書き出してください。
「○○○が悪い。なぜなら×××だからだ」
とことん書き出すことがポイントです。紙に書くことで、頭が整理できて、怒りが収まってきます。
ステップ2 エネルギーを発散する。
カラオケで大声をだしたり、ジョギングしたり、筋トレしたり、ストレッチしたり、シャドーボクシングをしたり、サンドバックを殴りにいったりして、身体を疲れさせてください。
怒りのエネルギーは非常に強力です。怒りのエネルギーは体を動かさないと発散できません。体を動かすことだけでしか怒りのエネルギーを発散できないのです。
あまり知られていませんが、発散できていない怒りのエネルギーは弱い方へ伝染していきます。
例えば、会社であれば上司から部下へ伝染します。家族であれば父親や母親の怒りは子どもへ伝染します。怒りのエネルギーを受け取った子どもから、学校で他の子どもへ伝染します。
怒りのエネルギーを発散できないと、怒りは憎しみに変わっていき、愚痴や不満、恫喝、暴力、イジメと形をかえて、大切な人を苦しめてしまう結果となるのです。ここでの大切な人とは自分自身も含まれます。
怒りのエネルギーを発散できないと、怒りが憎しみに変わります。憎しみをぶつける対象がいない場合には自分自身へと向けられ、 心身が弱っていきます。無意識に病気になったりケガをしたり、ウツになったりします。
ステップ3 距離を置く。
臨機応変に距離を置いてください。いろいろな形があると思います。
とことん睡眠をとる、旅行に行く、会わないようにする、話をしないようにする、そもそも仕事を辞める等々。
頭を冷やすことが目的です。
ステップ4 自分に5つの質問をする。
『探すのをやめたとき愛は見つかる-人生を美しく変える四つの質問』バイロン・ケイティ(創元社)に世界で最高の質問が紹介されています。
質問1「それは本当か?」
質問2「それは絶対に本当か?」
質問3「その考えのままだと、自分自身はどうなるのか?」
質問4「その考えがなければ、自分自身はどうなるのか?」
質問5「その考えをひっくり返してみるとどうなるのか?」
【事例】
憎しみ:上司が俺の話をまったく聞いてくれない
質問1「それは本当か?」→「本当だ」
質問2「それは絶対に本当か?」→「10%くらいは聞いてくれる」
質問3「その考えのままだと、自分自身はどうなるのか?」→「上司を殴ってしまう」
質問4「その考えがなければ、自分自身はどうなるのか?」
→「まったく聞いてくれないという考えがなければ、10%は聞いてくれるということだから、20%、30%と増やせるように話し方を変えてみる」
質問5「その考えをひっくり返してみるとどうなるのか?」
→「俺は上司の話をまったく聞かない」
世界最高の質問をやってみると、見事に自分自身の課題を発見することができるようになります。
絶対に許せないと思った人は、実は自分を成長させてくれる最良の教師だと気づくことができ、感謝できるようになります。
ステップ5 感謝して「幸せでいてください」と祈る。
ここまでくれば大丈夫ですね。目を閉じて、イメージの中で笑顔で握手をしながら「私を成長させてくれてありがとうございます。幸せでいてください」と心の中で祈ってください。
例えば、景気が憎い場合には、イメージの中で景気を人にして「景気君、私を成長させてくれてありがとうございます。幸せでいてください」と心の中で祈ってください。
「ありがとうございます」と感じることで、物事のプラス面に気づくリフレーミングの練習になりますし、「幸せでいてください」と感じることで、憎しみの感情にピリオドを打つ練習になります。
「私を成長させてくれてありがとうございます。幸せでいてください」と心の中で祈ることで、自分のまわりの人に対して「感謝していますし、幸せを願っています」と伝えることができるようになります。
心の底から「感謝していますし、幸せを願っています」という気持ちがあると、感謝と幸せを願うことができる素晴らしい人格と高い能力を持つ味方が少しずつ増えていきます。
あなたに対して愚痴不平不満悪口を言う人がいたら、素晴らしい人格と高い能力を持つ味方があなたを守ってくれるでしょう。
また、心の底から「感謝していますし、幸せを願っています」という気持ちがあると、憎しみに対して少しずつ無関心になっていきますから、自分の人生に時間とエネルギーを集中することができるようになって、自分を成長させ、自分と自分の大切な人を幸せにできるようになります。
祈りとは、憎しみからの攻撃を防ぎ、憎しみに対して迎撃し、自分を成長させ、自分と自分の大切な人を幸せにできるようになる最強魔法です。
ステップ6 ステップ1~6を繰り返す。
自分なりに試行錯誤して、自分が置かれた環境に合わせていってください。
心が前向きになったところで、浮かび上がった自分自身の課題と向き合い、課題に挑戦してください。自分自身の課題は、逃げればドンドン大きくなっていきます。借金の利子が増えるように、逃げれば逃げるほど苦しくなります。
浮かび上がった自分自身の課題と向き合い、課題を乗り越え成長していくことが非常に大切です。
【理論】エリザベス・キューブラー=ロス(精神科医)の「死の受容プロセス」
・否認:自分が死ぬということは嘘ではないのかと疑う段階。
・怒り:なぜ自分が死ななければならないのかという怒りを周囲に向ける段階。
・取引:なんとか死なずにすむように取引をしようと試みる段階。
・抑うつ:なにもできなくなる段階。
・受容:最終的に自分が死に行くことを受け入れる段階。
憎しみに置き換えて考えてみると・・・
・否認:俺が正しくて相手が悪い。
・怒り:愚痴・不満・暴力・イジメ。
・取引:相手を変えようと試行錯誤する。
・抑うつ:相手を変えることは無駄だと悟る。
・受容:自分と相手は違うと受け入れる。
愚痴や不満を言わず、すべて自分に原因があると考え、常に成長し、人に嫌な思いをさせないで、日々感謝して、良く寝て、良く食べ、良く運動する。
ステップ1~6は、当たり前のことを具体的に実践するノウハウです。
是非実践してみてください。
【追記】自分に厳し過ぎることが憎しみを生む原因になっていることがある。
他責しないで自分に原因があると考える「自責」は、自分の改善点や失敗の原因を発見して改善するために非常に強力ですが、自分に厳し過ぎることが憎しみを生む原因になっていることがあります。
自分に厳し過ぎるからこそ、いつの間にか自分の弱点や欠点、失敗する原因を作った自分自身を許せなくなってしまって、自分自身を許せないからこそ他人の弱点や欠点、他人の失敗を許せなくなってしまっていることがあります。
その場合には、まず自分の弱点や欠点、自分が失敗する原因を作ったことを自分の頭の中で認めてあげて、自分の頭の中で自分に謝ってあげてください。
「失敗して本当にごめんね」
そして、自分の頭の中で自分に謝ってくれた自分を許してあげて、自分の頭の中で自分を抱きしめてあげてください。
「許すよ。謝ってくれてありがとう。この世に失敗しない人間なんていないし、弱点や欠点が無い人間はいない。本当によく頑張ってるね。自分のペースで成長していこう。ありがとう」
自分を成長させ、自分と自分の大切な人を幸せにするために、自分の過ちを認めて、自分に謝って、自分を許しましょう。
学ばない者は人のせいにする。学びつつある者は自分のせいにする。学ぶということを知っている者はだれのせいにもしない。僕は学び続ける人間でいたい。
三浦知良
【参考文献】
『探すのをやめたとき愛は見つかる-人生を美しく変える四つの質問』バイロン・ケイティ(創元社)
『10年後あなたの本棚に残るビジネス書100』神田昌典、勝間和代(ダイヤモンド社)